「好きな曲なのに、楽しく聴けない」なんて、そんな不幸なことがありますか

DAC更新が視界に入ってから、実際の購入までには1年を要しました。

その間、様々な機種を視聴し、視聴できそうにないものは雑誌やネット上の僅かなレビューを拾い集める日々が続きました。

 

そして私が今年の4月に下した結論は、「ハイエンドDACは、私には必要ない」

 

ここで私が「ハイエンド」と設定した製品は、実売50万円以上なので、人によってはまだまだミドルクラスと判断されるかと思います。

しかしながら、私にとっては、「値段が上がるほど、音がつまらなくなる」としか感じられないのです。

exasound e22 mk2も。

DIDIT Hiend DAC212SEも。

 

理由は、わかりません。

ただ、「20万以下のエントリークラスのいくつかに備わっていたものが、Intensoには確実に感じられた『何か』が、ハイエンドDACには失われている」

それだけは確かな実感として、ありました。

 

では、私はどのDACなら失敗しないのか。

DDCを挟んで、USB入力を搭載していない古いDACを買う」

リスクが高いです。探してみても、単体DACというのは思った以上に少なく、CDPとの一体型が、かつての主流のようでした。

そもそも、デジタル技術が進歩したから、私の指し示す『何か』が失われたというわけではないような気がします。

 

いつの間にか、私は「高性能なものへ買い換える」という去年の発想を捨て去っており、「今までとちょっと違う音にしたいな」という、"ライトな"方向に転換していました。

でもそれだったら、わざわざ20万かそこらを出して購入する気には、ならないなぁと思うようになっていて。

 

いくつか候補をkeepしておきながら、実際には決断しない悶々とした日々。

あるとき私は、聴いたこともなければ名前すら知らなかった製品を、偶然見つけることになります。

Mhdt lab Pagoda DAC

http://dhost.info/mhdtlab/Pagoda%20balanced.htm

 

PCM1704マルチビットDAC×4 

GE5670真空管出力バッファー

見た瞬間、何も知らないのに第一候補になりました。

「マルチビットDACとは何か」購入した後から、何となく調べるぐらい適当です。

私はあまり技術的なことを気にしないんです。本当に買うときは直観のみ。

 

もうひとつ、候補に挙がっていたものにEXOGAL Comet DACがありましたが、

http://www.axiss.co.jp/brand/exogal/comet/

こちらは結局選ぶことはなく。

 

PAGODA DACを取り扱っているMhdt labですが、国内代理店は存在しません。

しかし、ある方から「コンタクト」があり、それによって購入することができました。

日本仕様AC100Vとなっています。

 

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さて、このDACですが、今までの私のPCAudioに対する常識が全く通用しません。

JPLAYを使用しない、WASAPI出力が一番音が良いと感じられるのですから。

こんなことは今までありえなかった。

Northstar Design Intensoでは、WASAPIとASIO、そしてJPLAYを経由するそれぞれの出力において明らかに音質の差がありました。

特に、WASAPIは常用に耐えるものではなかった。PAGODA DACでは完全に逆転現象が発生しています。

 

ここで、PAGODA DACにおいて私が「音が良い」と言っているときに、「解像度や分離」を指しているのではないことを明記しておく必要があります。

こういった要素は、PAGODA DACではどの出力方式でもほとんど違いがありません。

まずそれ自体が驚きなんですが、WASAPIが一番聴いていて私のイメージする「音楽的である」音に一致します。逆に、JPLAYを通すとその「音楽性」は失われている。

 

*6/5 加筆修正

元々PAGODA DACに搭載されているUSBレシーバーはJPLAYと相性が良くないです。

CMediaはKernelStreaming非対応で、動作エンジンはClassicに、実質的に限定されてしまいます。

それでも、JPLAYの諸設定とASIOデバイスのバッファー調整を緩めにしたところ、常用に違和感ないレベルまでには向上し、「音楽性」も感じられるようになってきています。

 

もうひとつ。PAGODA DACは貴重な特質を持っています。

「音源の音質の良さに関係なく、あらゆるものに対して音楽的な『芯』の部分を掬い上げることが出来る」ということ。

これは、「音質が悪いとされる音源を、悪目立ちさせずにそれなりに再生する」こととは少し意味が異なります。

 

最近流行りのESSの音は、「オーディオ的な美音」演出のために中域の一部分を僅かに引いている、と仮に想定するならば、このPAGODA DACのPCM1704は、とにかく「全てを出し切る」ことが前提となっているように思われます。

つまり、ESSのDACは、元々厚みのある今時の音源に対して、適度にバランスを取って「引き算」する再生には強みを発揮します。

しかし、それだけでは私のmusic Libraryの全てには対応できていなかった。

 

PAGODA DACがシステムに組み込まれて以来、Intensoではあまり聴かなくなっていた音源を、楽しく聴けるようになりました。

http://lolita-neurosis.biz/eve.htm

2011年リリース、ロリィタノイロォゼ1st~6thアルバムのベストリマスタ盤「イヴ」

現在は、2016年に発売された1st・2nd再録「lilin」

http://lolita-neurosis.biz/lilin-cd.htm

今年の春M3新譜 3rd・5th・6th再録「a little bit inside/insight」

http://lolita-neurosis.biz/albii/index.html

により、一部の楽曲は3回目の再録となっています。

 

Intensoを使っていたときは「lilin」と「a little bit inside/ insight」を買って以来、『イヴ』は、実はあまり聴いていなかったのだけど、PAGODA DACを購入してからは、この『イヴ』も、よく聴くようになりました。

底に滞留するノイズ成分が、音楽的な芯の部分を伝える上では、マイナス要素にならないのです。

「Go Under」が、代表曲として10年間愛され続けてきた、その変遷を辿ることができます。

こんな嬉しいことは、ありません。

 

 

オーディオは、どこまで行っても私的な領域だと思います。

近年では、邦楽CD売上トップ30が、まるで指標として意味を持たなくなったようです。

だから日本の音楽は衰退した、そんなわけはありません。

「多様化」したのです。100人いれば、みんな異なる曲を聴いている、とまではいかないかもしれませんが。

世の中、優秀な録音ばかりではありません。

オーディオを既に取り組んでいる方で「今現在、うまく鳴らないけれど、その音楽は好きだ」というものが、おそらくあるのではないでしょうか。

 

「悪いものは悪く」再現して、何の意味がありましょう。

「音楽がそっけなく感じられるが」なんていう表記が、web上でオーディオ評論家から出てくるのは、なんだかおかしな方向に向かっているように感じます。

 

 

「録音品質が良かろうが、悪かろうが、それに関係なく、楽曲独自の音楽性を引き出せる」

それが幸福への近道であると、私は思います。

 

 

P.S.

本文は以上にて終わりますが、この記事に関連する過去のtweetを随時pick upしていきます。

次回ブログ記事の構想が固まった段階で、twitterからの捕捉は打ち止めとなります。