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存在しながら死に続けるxx

小学4年の頃。

私は、「私が死ぬ」ことについて酷く恐れていた。

この意識も、眼前の光景も、いつかは全てが永遠の無となること。

一度「それ」に囚われてしまうと、視界は瞬時に暗転し、黒で埋め尽くされた。

 

学校の授業中。

帰宅後、入浴中に。

家族旅行で、動物園に行っていたときでさえ。

 

黒。斑に白い点が見える。それらが、私から遠ざかっていく。

 

それから数週間後、私は原因不明の嘔吐・断続的な吐き気に「一ヶ月も」襲われることになる。

何度病院に行っても、精密検査までも行った結果は、「原因不明」であった。

私は、これを「当たり前のことだ」と思った。そして、決して口にしてはならないということも知っていた。

私にもたらされたものは、私自身が生成しているだなんてことは、決して。

 

この「体調不良」は、母が犬を飼うことを提案し、隣町から子犬をもらってきたことにより一応の回復を迎えた。

 

 

あれから12年後。

私は、「自死問題」を解決するべく、哲学に傾倒する。

実際には、中島義道の「哲学専門書以外の著書」ばかり、読んでいたのだけど。

 

「この世界は確固としたものだという錯覚に陥るのは、言葉のせいである。

…言葉が刻々と変化し続けるものを、時間が経過しても変化しない「一つの物」とみなす錯覚に導くのである」

 

この一文は、大きな手がかりとなったことをよく覚えている。

他にも、彼の無数の言葉は私の「世界認識」に明瞭な輪郭を与えてくれた。

 

 

 

 

それでも。

「認識」はできたとしても、それがただちに「この私の死」の解決には繋がらなかった。

相変わらず、死は「それを考えだしたら、恐ろしいのに、やめることができない」ものであった。

 

 

そんなある日、突然、私は鮮烈な音楽と出会った。

密やかな恋に落ちた。

ロリィタノイロォゼ

 

私はこれまで様々な同人音楽を聴いてきたが、この感覚は、全く初めてのものだった。

この世界は、彼女にしか創りえないものだと、すぐに直観した。

 自家通販のメールフォームから在庫のある作品は全て注文し、1週間後に1枚を除き到着した。

残りの1枚は、在庫がなかったのか、それとも同梱し忘れたのか、さらに1週間後、茶封筒に手書きの文字で書かれて送られてきた。

 

毎日、欠かさず再生した。

何度も何度も、完全に記憶していても、全く飽きることはなかった。

そして今日、ある曲のplaycountは300回を超えた。

私が、ここまで特定のartistに入れ込むのは初めてだったし、今後もないのだと思う。

 

 初めて聴いた日から、半年が過ぎたころ。

このtweetを投稿したときから、今思えば、無意識下において私の中で何かが変化し始めたのかもしれない。

私は、あまり中島義道の著書を読まなくなっていった。正確に言えば、読まなくなっていったこと自体、意識することがなかった。

正面から、抉じ開けることに疲れてしまったのかもしれない。

面倒な、捻くれた、それでいて脇目も振らず、「強引に力強く」語られるより、

ただ、純粋に心地よい気分になれる時間を、自然と選んでいた。

 

 

段々と、日々の仕事が、私自身を吸収していく。

大学を出てから、あまり社会に適応できなかった私だけど、今の場所は、どうにかなりそうだ。

「他者一般」は恐ろしいけど、「今、私の周りにいる人々」は、怖くない。

やはり私は、溶け込んでいるようなわけでは、ないようだけど。

それでも、「私の間合い」を受け入れてくれている気がする。

 

 

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 私はいつから、「この私」であることを固定化してしまったのだろう

細胞も、何ヶ月か経てばすべてが入れ替わってしまうそうではないか

記憶だって、「私がこのように断定した」だけであって、そのほとんどは事実と隔たりがある

事実でさえ、私がその事象に対して「正しい」というラベルを貼りつけただけなのではないのか

 

私が今、「生きている」

これも、「生きている、と定義している」に過ぎない

 

・・・・・・

 

全ては、私が決めていいんだ

世界の側から与えられるような錯覚に陥ってしまうだけなんだ

 

「14時57分に私と会話を交わしたT氏」は、今は存在しない

17時10分。私の眼前に存在する者に、私は「あのT氏」という意味を与えた

 

「この私」についても、何ら変わることはないのだ

 

私は絶えず生起する

私はその都度、消滅する

ただ、その無数の発生と消滅の中から

まったく気まぐれに、適当な幅をもって「私は生きていた」と表現する

 

ただ、それだけのこと