「音楽として、成立していますか?」

今回もフジヤエービック主催「HPFES2016 秋」に参加したので、聴いたヘッドホンのレビューを・・・しません(な

ヘッドホンについて触れはしますが焦点をそこ(だけ)には当てないという意味です。

 

常々思っていることですが、ヘッドホンそれだけではなく環境全体を把握して、「そこから」語り始めるべきなのです。

それが、近年充実してきた20万円以上のヘッドホンであれば尚更のこと。

 

事の発端は、UTOPIA / ELEARのために専用部屋を確保して、整理券配布の再入場時間まで指定する入念ぶりに対して、いざ入室して聴いた音が。。。

 

(ヘッドホンまでの)構成を振り返ります。視聴機は2セット用意されていました。

①アキュフューズ(おそらく)DP-950

 →Re Lief E1R

②musical fidelity(たぶん)M6scd

 →CHORD DAVE

 

どちらも個人的にはUTOPIAに対して十分すぎるグレードのものだと思います。

しかし、電源ケーブルが明らかにCDPの付属品(それ以下か?)です。

また、両システムともCDPはトランスポートのみとして用いていますので、インコネは接続されていませんが、デジタルケーブルが、これもほとんど注意を払われていないであろうものが繋がれていました。

 

今までの経験でこういう場合の音というのを知っています。

「高性能な酷い音」

今回、UTOPIAが相手だったことは何とも運が悪いというか。。。

そこらのモニター機とは比較にならないぐらいに、システム全体の粗を出してくるヘッドホンのようです。

元々イベント会場の電源環境というのは劣悪ですから、それを考慮しなければなりませんが、それでもあの音は・・・

 

まぁ、私も意地悪く鳴らしにくい音源を持ってきました。

アルトノイラント「春の海」です。

 

altneuland.net

音が大変暴れやすいのですが、家の環境ではようやく聴けるレベルまで到達しました。

このアルバム、しっかりと聴ける環境であれば本当に素晴らしいのです。

しかし、あのブースでは、全く聴けるものではありませんでした。

暴れる、鈍る、こもるの3拍子揃っています(

ちなみに②の環境では「こもり」はなかったです。

 

さて、HPFESは2日間の開催ですから、めげずに2日目も予約取って聴きました。

今度はpetaさんに私のアルトノイラントのCDを聴いてもらいます。私はpetaさん持ち込みと交換です。

 

10分の視聴時間を終えて、退室します。

「このアルバムって、音楽として成立していますか?」

petaさんにそう問われて、私は一瞬返答に詰まりました。

確かに独特な構成と展開で、ちぐはぐな印象を与える部分はあるのですが、私は決してそれだけではないと感じていました。

ただ、このアルバム、私以外に絶賛しているようなレビューって今までネット上には存在しなかったし、そもそも私は音楽的知識や基礎がわからない人間ですから、

「私だけだったのかな・・・」

と、一瞬よぎってしまったのです。

 

それでも諦めきれない私は、「春の海」をpetaさんに進呈します。

結果は、杞憂だったようです。アルトノイラントは、petaさんの環境ではきちんと音楽として成立し再生されて、しかも曲自体とても良いものだと感想頂きました。

一安心するとともに、私としても大変嬉しく思いました。

 

さらに数日後、petaさんがフジヤで予約されたUTOPIAが到着します。

その後のtweetの雰囲気から察すると、あのブースの音よりは良いけど完全にはまとまらないという感じでしょうか。

UTOPIAとは本当に「環境を映す鏡」のような存在なのかもしれません。

 

 

話をヘッドホン祭に戻します。

今回ですが、全体的に平均としてのレベルが上がってきているように思います。

また、ヘッドホンだけではなくシステム全体としてバランスが考慮されているところも増えてきた印象です。

色々聴いてはみたんですが、私は今回特に「ヘッドホンそれ自体の音」というのを意識せずに、

「音楽的に成立しているか」

「色彩感が備わっているか」

この2つに視点を置いて聴いてみることにしました。

 

傾向として、たとえDACやHPAに50万、100万越えの高級機を用いなくても、ケーブルに少し奢ってやっている(定価5万程度のミドルクラス~)ところは、音楽としてひとつのまとまりがあり、世界観がしっかり存在していました。

そういったブースが、ここ何回か着実に増えているように思います。

(平均レベルの向上というのもこれに起因しています)

逆に、前述のFOCAL(代理店のロッキー?)ブースでのUTOPIAのような、機器はハイエンドでもケーブルがチープという場合、ボトルネック要素が増幅されて、音の繋がりがちぐはぐで喧しく、しかも変にろ過されたような脱色済みの音になっていて、1曲を最後まで聴いていられない音になっていました。

 

正直に言って、あのようにUTOPIAを看板のようにチラシに出しておいて、聴かせる音がアレでは、すでにオーディオをある程度やってきた人間にとってはまるでデモになっていません。

「イベントでは音の雰囲気だけ感じ取るもの」とわきまえていても、です。

人によっては「ヘッドホンに50万出してこれか」って思われることもあるでしょう。